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SSS:何処にでもなくて何処にでもある

閉じた瞳に映るのは、冷たい景色。それ以外はきっといらない。
悲しい出来事なのかは分からない。私はそれしか知らないから。
君達の当たり前は私の当たり前とは何処か違うの。でも、君達は私の世界に干渉してくる。
酷く耳障りなノイズ音。溜息混じりに悪態を吐く。

「私なんて消えてしまえばいい」

一度だけ、たった一度だけ強く願ったことがあったの。
その当時、自分にとってすごくショックなことがあったんだろう。
次の日、後先考えない投げやりな言葉は闇を伴って私の元へと帰ってきた。
震えが一向に止まらない高熱。私は「寒い。寒い」そう繰り返すだけの人形。
終わりの見えない不安は震えを大きくする。揺れる赤い光。

「ごめんね」

その時気付いた。これが私の犯した最大の罪だと。
ああ、悪い事ばかりがグルグルと頭の中を駆け巡ってく。
気付いたときには幾つものチューブが身体を取り巻いていた。
紫色のモンスターが私を私だと指を差して嗤う。
私は意味が理解出来なくて、それがただただ怖くて、でも泣けなくて。

しっかりと意識が戻った夜。寂しげな天井と何処からか聞こえてくる優しげな歌声に
声を押し殺して泣いた。最後にズズッと鼻をすすったのを最後に意識をまた手放した。

「私はどうしたらいいんだろうね。生きたいけど、生き方が分からないの」

夢の中で出会ったお友達に私は問いかける。

「私はどうしたらいいんだろうね。生きたいけど、生き方が分からないの」

お友達は同じ言葉はただただ繰り返す。いつも一方通行な会話。
でも、私は安心していた。違う言葉を求めてはいなかったから。
答えなど最初から求めてなどいなかったからだ。
けど、私のお友達はどんどんと言葉を覚えていった。スポンジみたいな子だった。
ケラケラとよく笑うようにもなった。全てが楽しいとお友達は笑った。
私はそれが羨ましくて、それがどうでもよかった。
星のない夜に、もう一人のお友達と出会った。そのお友達はとっても無愛想だったけど、
頼りになるお兄さんみたいな存在だった。

「ねえ、私は○○って言うんだ。君たちはなんて名前なの?」
恐る恐る聞いた。私たちはきっとしばらくは一緒にいるんだろうな。
なんとなくそう思ったから。

「「まだ内緒」」

私は思った。答えを、もっと知りたいことが沢山あるということを。
名前を聞けるのはまだまだ先のお話。そうまだ先は長いんだ。
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テーマ : ショートショート
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